運輸・エネルギー
景気回復による国内貨物輸送量の増加で運輸業界の業績は改善。だが、国内市場は長期縮小傾向なだけに、陸運・鉄道は内需依存から外需取り込みへ動き出している。電力・ガス業界は小売市場の自由化がいよいよ本格化する。電力は業界構造の変更を伴う大改革なだけに、各社の対応に注目が集まる。内需縮小で生産能力削減が続く石油業界。再生可能エネルギー事業や油田、LNG(液化天然ガス)、資源開発の上流事業など事業の多角化が進行中。
陸運
国内貨物輸送量は11年連続のマイナス。大手各社はサービスの充実や物流事業、ファイナンス業など事業多角化、グローバル展開で収益を生み出している。業績堅調な中で、収益圧迫要因となる原油高と環境関連税制の導入が懸念材料。
海運
新興国の旺盛な需要で荷動きが活発化し、各社の業績は堅調に回復。業界トレンドは国際海運における温室効果ガス削減対策。減速航行やエネルギー効率向上技術、太陽光発電機や低摩擦船倉塗料など、造船業界とタッグで取り組んでいる。
航空
デフレ下の不況に加え、競合交通機関の影響もあり旅客数は減少、事業環境の厳しさを増している。経営再建中の日本航空はグループ売却でスリム化中。全日本空輸は格安航空会社(LCC)の設立で、アジアLCCとの険しい競争に突入。
鉄道
長距離バスや高速料金施策により旅客の減少が続く中、東北新幹線や九州新幹線の全線開通で活況への期待も。だが、鉄道利用の低下傾向は変わらず厳しい状況。駅ビル・エキナカなどの運輸外事業も低調で、事業の修正強化の時期にある。
電力
10年度の大手各社の決算は増収増益、時期も堅調な業績予想だった。だが、福島原発の事故やその後の電力不足問題により、原発依存型の発電構成の見直しや小口電力の流通を促す発送電分離など事業構造そのものの変更に迫られている。
ガス
原油高が産業界のエネルギー転換を促し、業界の天然ガスの経済性・供給安定性・環境適合性の訴求も奏功しLNG(液化天然ガス)利用が増加傾向。家庭用コンジェネレーションへの関心も高まりつつあり、業界全体が追い風ムードにある。