流通
景況感の改善が個人消費を誘い、消費増税後も小売市場は堅調な伸び。百貨店は景気要因に増床改装効果で16年ぶりの市場規模拡大。富裕層やインバウンド(訪日外国人観光客)の取り込みに注力中。人口減少社会に備えた店舗配置を進めるスーパーは、郊外の大型総合店から都市の小型店へ戦略シフト。都心部の出店は一段と競争激化。市場の拡大が続くコンビニは、店舗運営の機動性と商品開発力の差でチェーン間格差が広がりつつある。
量販店・専門店
業界内の統廃合やコスト削減が功を奏して収益堅調な量販店・専門店業界。エコポイントの特需で増収増益の家電量販店は、大手の戦略に変化の兆し。都心大型店出店から郊外小型店強化で細かいニーズの掘り起こしに転換する企業も。積極的な出店とM&A戦略で成長を維持するドラッグストアも業績堅調。調剤薬局の取り込みや薬剤師の配置による取り扱い商品の拡大など、利益率のアップに取り組んでいる。
百貨店
国内はデフレ下の不況と、将来的にも構造的縮小市場で百貨店の事業環境は厳しい。各社売上が伸びない中、人員整理や店舗統廃合で利益をたたき出している。業界再編は収束し、次のステップは生き残りに向けた戦略展開。大手2社は中国市場をめざして海外進出を果たし、その他では、ネット企業との協業による販売チャネルの多様化やカード提携による顧客囲い込みなど、異業種提携の新展開が活発。
スーパー・コンビニ
2強体制のスーパー業界は、店舗統廃合や在庫圧縮、人員再配置等の経営効率化の結果、売上は低迷でも利益を出し、業績は回復基調。傘下の多様な業種・業態との相乗効果で顧客拡大と販売機会創出をめざす。コンビニ業界は、飽和状態で出店余地の少ない国内から主戦場をアジアに移して出店競争。国内需要の取り込みでは、HMVジャパンやタワーレコードを傘下にした新展開に期待が集まる。