建設・不動産
政府の政策支援が奏功し、建設・不動産関連業界の業況は活況。インフラ設備の老朽化対策や事前防災、東京オリンピック関連施設等、安定的な需要が見込まれる建設。懸念材料は労務費、資材費の更なる高騰だ。不動産は、都市部の地価回復やオフィスの空室率の改善などの好材料に期待が高まる。政府支援策の継続が需要を支える住宅は、2015年の消費増税後が節目。リフォーム市場の育成と取り込みに各社しのぎを削る。
住宅
住宅業界では、住宅ローン減税や金利優遇措置、住宅版エコポイント制度など景気刺激策が奏功。住宅着工数の前年比プラス、企業業績も上向きで業界は回復基調。その中で、各社は時限施策に備えている。リフォーム業界は、ストック重視の政府方針や各種補助金が追い風となり堅調。大手ハウスメーカーの分社から地域の地元工務店まで業界のすそ野は広く、集約・統合化の進んだ住設業界も参入。
建設
公共工事の前倒しや中小企業への金融施策により、2008年以降増加していた業界の倒産件数が10年度は減少に転じた。だが、市場に好転の兆しは見えない。2011年は、企業の資金繰り支援策の「緊急保障制度」が終了し、建設業法の改定による入札参加基準の大幅厳格化など、事業環境は厳しさを増す。すでに地方の地場企業では倒産と淘汰が進行中で、大手を含め業界全体が活路を模索中。
不動産
経済対策の効果でマンション分譲市場は堅調だが、賃貸オフィス市場は依然として高い空室率に過去最低水準の賃料相場が続いており厳しい。事業領域の広い総合不動産や都市開発は収益確保するも、オフィス賃貸や商業施設事業では業績悪化が続く。マンション業界では保有ビルの資産価値低下で資金繰りに行き詰まる企業も。発展途上のリノベーション業界は、市場の潜在需要掘り起こしと企業体力の勝負で二極分化。
設備・建物管理
設備業界は、公共工事や民間設備投資の激減で縮小市場に競争激化。業界は、改正省エネ法の施行や今夏の電力使用制限を環境配慮型設備の導入へと、市場の投資意欲を喚起したいところ。各社、営業部門の提案力に磨きをかける。建物管理は企業のコスト削減対象となり厳しい状況。メイン事業の強化に加え、営繕工事等の周辺事業の拡充やプロパティマネジメントの業容拡大、海外進出の販路拡大で活路を模索する。
プラントエンジニアリング
エンジニアリング専業企業と、鉄鋼、造船・重機、産機、建設、電機などの日本の主な基幹産業大手がしのぎを削る業界。国内は売上ベースで7兆円規模の市場だが、勢いあるのは海外。グルーバル展開では、受注高の海外比率7割超の専業大手が先行中。事業展開で従来の中東中心から太平州、南米、アフリカへと地域を拡げ、今後伸長が予想される化学、LNG、発電プラントの案件獲得に注力している。