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業界の特性、現状・将来性、景気動向、国際性、社会性などの項目をチェックすることで、業界への理解を深めましょう!就活の際の業界研究に活かしましょう。

メーカー

メーカーとは、製品を生産する企業のこと。製造業とも呼ばれ、製品作りのもとになる原材料を生産する「素材メーカー」、素材メーカーで生産された原材料を使って製品を作る「加工組立メーカー」、原材料の生産から最終製品作りまでを自社で行う「自社生産加工メーカー」に分類される。また、事業を企業に対して行うB to B※1企業と、消費者に対して行うB to C※2企業がある。
メーカーは日本を支える基幹産業のひとつであり、日本のモノ作り品質は世界をリードしている。その一方で、価格面ではアジア圏を中心とする海外企業との競争が激化。さらに、IoT※3やAI※4など最新技術の導入やIndustry4.0(第四次産業革命)※5といったモノ作りの大変革時代を迎え、各社とも「高品質」「低コスト」「長寿命」「ブランド化」などをはじめとする新たな価値の創造に全力で取り組んでいる。

※1 Business to Business:企業が企業に向けて商品やサービスを提供する取引形態のこと
※2 Business to Consumer:企業が一般消費者に商品やサービスを提供する取引形態のこと
※3 Internet of Things:さまざまなモノがインターネットにつながり、情報連携すること。「モノのインターネット」と訳される
※4 Artificial Intelligence:人工知能のこと
※5 製造の革新をテーマにドイツで進められている国家プロジェクト。IoTやAIを活用した最新の製造革新という意味合いから第四次産業革命とも呼ばれている

電機・電池

重電・社会インフラの活躍フィールドは地球規模
新たな技術への対応で、さらなる成長に期待

【基礎知識】
電機業界は、日本トップクラスの業績と事業規模・労働者数を誇る業界だ。事業領域は、消費者向けの家電製品から業務用の設備機器、発電機や電池などの重電製品、そして社会インフラまでと、実に幅広い。こうした事業を手掛けている企業が「電機メーカー」と呼ばれ、その中で複数の事業を幅広く手掛けている企業が「総合電機メーカー」と呼ばれている。総合電機メーカーの多くは、2008年に発生したリーマンショックの影響で業績が悪化した際に事業の取捨選択を行い、強みを持つ数種の事業に経営を絞り込んだ。その結果、強みをさらに伸ばすことで業績を回復し、過去最高益を確保するなど、復活を遂げた企業が多くある。

【展望】
業界の成長を担うと考えられているのは、重電・社会インフラ事業だ。ニーズは国内外とも高いことから動向を地球規模でとらえ、どのような事業戦略を展開するかが、成長を左右する鍵になると見られている。一方、家電事業は海外企業との厳しい価格競争に直面しており、高品質・多機能といった差別化要素の創出が急務となっている。業界全体としては、IoT、ビッグデータ解析※1、AI、第四次産業革命などの新技術や動向にいち早く対応し、新たな価値を提供することが、今後の成長ファクターになっている。

※1 大量のデータを収集・分析してひとつの方向性を見出すこと

半導体・半導体製造装置

世界中から寄せられている期待に応えて
新たな社会の実現に貢献

【基礎知識】
半導体は、PCやスマートフォンをはじめ、家電、自動車、産業機器など、さまざまな製品の中核を担っている。従来、半導体メーカーは企画・開発から製造まで一貫して行う企業が主だったが、現在は開発・設計に特化した「ファブレス企業※1」と、大規模生産設備を保有して受託生産を専門とする「ファウンドリー企業※2」という分業化が国際レベルで進んでいる。また、半導体メーカーの多くは、データを保存・管理するメモリ、音や圧力を関知するセンサー、演算処理を行うCPU※3・GPU※4など、特定機能を持つ半導体に特化することで、業界内における存在感を高めている。

【展望】
ここ数年、半導体市場は過去最高を塗り替える成長を遂げてきた。2019年はその成長が小休止するものの、2020年以降の見通しは長期的に明るいと考えられている。その要因は、さまざまな製品に搭載される半導体の種類が増加していることに加えて、自動運転車や電気自動車の販売本格化をはじめ、今後の社会発展に重要な役割を担うIoT、AI、VR※5/AR※6/MR※7、5G※8の実現・普及には半導体が不可欠だからだ。さらに、米中貿易戦争で米国製半導体の中国向け輸出が制限されるため、日本の半導体メーカーに大きなビジネスチャンスが訪れる可能性が高い。また、現在の半導体製造装置メーカーランキングでトップ15社中7社が日本メーカーであり、グローバルな半導体市場の発展に貢献することが期待されている。

※1 ファブ(製造部門)を持たず、企画・開発・設計のみを行い、生産は外部委託する企業
※2 製造施設を持ち、ファブレス企業からの委託を受けて半導体を製造する生産専門企業
※3 Central Processing Unit:エレクトロニクス製品の処理を中心となって行う装置。中央演算処理装置
※4 Graphics Processing Unit:リアルタイム画像処理に特化した演算装置。CPU に代わって高速演算処理を行うために使用されることもある
※5 Virtual Reality:現実には存在しない空間を作り出し、その中にいるような疑似体験をさせる技術。仮想現実
※6 Augmented Reality:目の前にある現実環境にさまざまな情報を加えて拡張する技術。拡張現実
※7 Mixed Reality:現実世界と仮想世界を融合する技術。複合現実
※8 5th Generation:第5世代移動通信システム。「高速・大容量」「低遅延」「多数端末接続」という3つの特徴を実現する次世代無線通信システム

電子部品

世界シェア約4割の強みを生かして
5GやIoT化が進む社会で引き続き成長

【基礎知識】
身近なスマートフォンから社会を支える産業機器まで、あらゆるエレクトロニクス製品で使用される電子回路や電子部品を製造するのが、電子部品メーカーだ。B to Bのため、一般的な認知度は低いが、グローバルで高いシェアを持つ企業は多い。日本を代表する業界のひとつであり、日系企業のシェアは世界の約4割。高機能・高付加価値部品を中心に、世界をリードしている。

【展望】
長らく業界をリードしてきたスマートフォン部品市場は成長期から成熟期へ移行したものの、もうひとつの牽引市場である自動車部品は電装化の進展で引き続きニーズが高まっている。中でも、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車といったエコカー、さらには、次世代の完全自動運転車やコネクテッドカー※1を実現する部品のニーズが伸長している。また、がん治療装置や医療検査装置用部品といった高機能医療機器分野のニーズも拡大傾向にある。これに加えて、新たな需要を喚起すると期待されているのが5Gだ。第5世代の新しい通信規格に対応したスマートフォンや家電、自動車、産業機器などを実現するため、通信関連部品の大型需要が期待されている。こうした状況から日本の電子部品メーカーは、世界シェア約4割という強みを生かし、中長期ではIoT化が進むグローバル社会で成長を続けるという見解は揺るがないと見られている。

※1 ネットワークに接続された自動車のこと。車両の状態や周囲の状況など、さまざまなデータをセンサーで取得し、ネットワーク経由でセンターへ送信。各車から送られてくるビッグデータを分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている

精密機器

蓄積した技術を応用したビジネスシフトが進行中
注目の成長分野は、医療・ヘルスケア関連

【基礎知識】
精密機器とは、高性能部品と高度な制御技術により、緻密な動作要求に応える製品のこと。計測機器、光学機器、カメラ、OA機器(コピー・プリンター・複合機)、医療機器、時計などが該当する。業態は、B to B企業、B to C企業、B to BもB to Cも行っている企業の3種類がある。いずれの分野でも日本メーカーは世界トップクラスのブランド力があり、グローバルで高く評価されている。

【展望】
好調なのは、計測・医療機器メーカーだ。先進国で進む高齢化と新興国で高まる医療水準の向上ニーズ、さらには福祉・介護領域のニーズも高まっていることから、業績を伸ばしている。一方、OA機器はペーパーレス化によって先進国の需要が伸び悩んでいるため、新興国への展開や蓄積した技術を新たな領域で活用するビジネスシフトが進行中だ。カメラや時計も景気の低迷やスマートフォンの普及が業績に大きく影響したことから、新領域への応用に注力している。こうした状況から、蓄積した技術の応用やM&A※1により、医療・ヘルスケア領域を中心に、新たな領域に新規参入する企業が増加する傾向にある。

※1 Mergers and Acquisitions:企業の合併や買収の総称

工作機械

モノ作りの基本となる「マザーマシン」をグローバルに提供
加工の効率化・省力化実現が中長期の成長を導く

【基礎知識】
工作機械とは、自動車、航空機、精密機器などを作るために使用される機械のこと。「機械を作る機械」であることから、「マザーマシン」とも呼ばれる。市場はグローバルで、オーダーメイドによる受注生産が主流であり、成長は世界経済の動向と比例する傾向にある。日本は世界有数の工作機械大国で、世界を代表する大手メーカーのほか、数多くの中堅・中小メーカーがある。規模が小さい企業の中にも高度な専門性と技術を保有し、グローバルで高い存在感を示す企業も少なくない。

【展望】
米中貿易戦争の影響で中国市場の勢いは薄れるものの、日本、北米、欧州のニーズは依然として高く、中長期で見ると、市場は高水準で推移すると予測されている。その要因にあげられているのは、自動車や精密機器などの製品に対する環境性や安全性の追求が加速し、より高度な加工精度や品質が求められていること。加えて、製品メーカー各社が人手不足に直面していることから、複数の工作機械で行っていた加工を1台で可能にする複合化、加工作業の効率化・省力化をロボットで実現する自動化、さらにはIoTやAI、5G対応といったニーズが高まっており、こうした需要に応えることが、各社の成長ポイントになっている。

建設機械・産業用一般機械

日本メーカーがグローバル市場を牽引
最新ICTとの融合で、さらなる成長を実現

【基礎知識】
建設機械は、油圧ショベル、フォークリフト、クレーンなど、土木・建設工事や鉱山開発などに、なくてはならないマシン。日本の大手メーカーは、世界でも高いシェアを持つグローバル企業だ。産業用機械は、工場のFA※1機器や溶接機器、物流コンベア、産業用ロボットなど、さまざまな生産工程の合理化や省力化を担う機械。こちらも、グローバルで活躍しているメーカーが多くある。

【展望】
建設機械業界の動向は、社会動向とほぼ一致する。日本では東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けたインフラ整備に連動して市場は伸びてきたが、2019年に一段落する。そこで注目されるのが、海外で行われているインフラ整備、工場建設、鉱山開発などへの対応だ。日本の建設機械は作業性や燃費に優れていることに加えて、ICT※2との融合で現場のトータルな生産性向上に貢献している。この取り組みはグローバルな業界をリードしていることから、継続的な成長を支えるものと考えられている。産業用機械も同様で、ICT導入の効果は、作業面、コスト面、管理面で顕著にあらわれ、第四次産業革命の対応には欠かせない要素になっている。対応フィールドがグローバルなことから、最新技術による機能向上で、大きな成長が期待されている。

※1 Factory Automation:工場における生産工程の自動化を図るシステムのこと
※2 Information and Communication Technology:情報通信技術。情報処理に加え、通信を利用した情報や知識の共有に関連する技術、産業、サービスなどの総称。IT と同じように使われるが、よりコミュニケーションの重要性を強調するときに使用される

造船・重機・鉄道車両・航空宇宙

社会インフラを支える4つの重工業
日本はもちろん、海外でもビジネスを積極的に展開

【基礎知識】
造船はグローバルな海運を支える業界で、世界トップ10に2社がランクインしている。重機は、発電設備や搬送機器など、大型で重量のある機械や装置のこと。社会インフラを支える製品として重要な役割を担っている。鉄道車両は国内メインの事業だったが、最近は海外プロジェクトにも積極的に参加している。航空宇宙は、軍需と海外メーカーへの部品や装置の供給がメイン。世界で運航している航空機のほとんどは、日本メーカー製の部品・装置で構成されている。

【展望】
社会インフラの大きな特徴は、既存環境を維持・運営するための設備更新が定期的に行われることだ。その時期を、ビジネスチャンスとして的確にキャッチすることが成長のポイントになる。1案件あたりの規模が大きいことも、特徴のひとつだ。最近で注目を集めているのは、国産航空機ビジネスの進捗。小型ジェット機分野では、日系企業がトップメーカーとなり、グローバルビジネスを展開している。このほか、造船も2020年に強化される環境規制に対応した新型船の需要拡大に期待が集まっている。

自動車・二輪・タイヤ

100年に一度の大変革期に対応する
新たなビジネスモデルを確立した企業が今後のリーダーに

【基礎知識】
自動車は、日本を支える基幹産業のひとつ。製造量と輸出量は日本全体の約20%を担うという巨大なもので、自動車産業には多くの企業が関わっている。日本の完成車メーカーのトップ3は、世界のトップ10にランクインする業績をあげている。二輪は自動車以上にグローバルビジネスを展開しており、日系メーカーの世界シェアは約45%。タイヤもトップメーカーを中心に、業績と技術で世界をリードしている。

【展望】
自動車業界は今、100年に一度の大変革期を迎えている。その動向は、Connected(接続性)※1、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)※2、Electric(電動化)※3という4つの言葉に象徴されることから、「CASE」と呼ばれている。この実現には自動車技術はもとより、ICTやAIの先進技術も必要になることから、自動車メーカー同士だけでなく、ベンチャーやIT企業など業種の垣根を越えた提携で、新しいビジネスモデルを確立する取り組みが、しばらく続くと予測されている。市場は中国と米国を中心に、今後は経済成長が顕著になる新興国が牽引する見通し。トラックは、タイとインドネシアなどで順調に推移すると見られている。二輪業界も電動化対応を積極的に進め、新興国需要のさらなる獲得により、グローバルシェア50%を目指している。タイヤ業界で進められているのは、高機能タイヤの実現だ。センサーで検知した路面情報やタイヤの状態をCASE車や電動二輪車にフィードバックするなど、自動車や二輪の性能向上に貢献する製品化を推進中。ビジネスのグローバル戦略も進められている。

※1 自動車をネットワークに接続し、車両の状態や周囲の状況といった各種のデータをセンターへ送信して分析したり、スマートフォンなどから送られてくる情報と連動させたりすることで、カーナビゲーションや自動運転の機能アップ、自動配車といった新たな価値創造が期待されている
※2 自動車は今後、所有するものではなく共有するものとなり、利用したいときに利用するモビリティサービスが主流になると考えられている
※3 自動車の駆動方式を電動化し、電気自動車を普及させることで、環境負荷を低減する動きがEUや中国を中心に本格化している

鉄鋼・非鉄金属・セラミックス・セメント・紙・パルプ

成長の鍵を握るのは、グローバルニーズへの対応
明確な差別化要因が、ビジネスをますます優位に

【基礎知識】
鉄鋼は、鉄を加工して作った鋼板などを、自動車や建設などに提供する業界。モノ作りの基盤になる素材を提供しているため、業界規模は大きい。企業は、原料の鉄鉱石から一貫生産する「高炉メーカー」、くず鉄などを溶かして生産する「電炉メーカー」、高度な鉄合金を生産する「特殊鋼メーカー」に分類される。非鉄金属は、鉄以外の銅やアルミ、合金などの金属を扱っている業界。大手は資源開発から製錬、加工までトータルに行っている。供給先は、自動車、建設、電子部品、電線など、幅広い。セラミックスは、無機物を加熱処理し、誘電性、放熱性、絶縁性、耐食性などを達成した高機能材料を提供している業界だ。

【展望】
今、鉄鋼ニーズが伸びているのは新興国だ。高まる自動車や電子機器の購入意欲、旺盛な建築ニーズやインフラ整備などが注目されており、世界中の鉄鋼メーカーが激しい競争を繰り広げている。その中で高い競争力を発揮しているのが、日本メーカーの高付加価値製品であることから、的確な戦略でニーズを獲得することが、今後の成長要因になると見られている。非鉄金属も海外需要が自動車や住宅を中心に伸びており、グローバル戦略の重要度が一段と増している。セラミックスは、電子部品、燃料電池、医療、住設建材といった分野の需要が国内外で高まっている。セメントの需要は、国内外とも公共事業とマンション建設が中核であり、海外ではアジア・オセアニア諸国を中心に根強い引き合いが続いている。紙・パルプはペーパーレス化の影響があるものの、紙おむつなどの機能性紙や通販向けの段ボールが国内外でニーズを伸ばしていることから、各社が自社の強みを活かせる領域に事業を集約していくことが予測されている。

化学・繊維

激化するグローバル競争を勝ち抜くために
強みを伸ばす事業集中や研究開発力の強化を推進

【基礎知識】
化学業界が取り組むのは、石油や天然ガスを原材料にした、樹脂やゴム、合成繊維、塗料、薬品などの製造。市場規模は巨大で、携わる人たちの数も膨大だ。業界構成は、原材料から最初に生成されるエチレンなどの基礎化学品から最終製品の製造までトータルに取り組む「総合化学」と、特定分野の製造に特化した「専門化学」に大別される。繊維業界は従来、日本を牽引する主要産業だったが、新興国から安価な繊維が大量輸入されるようになり、競争が激化。そこで日本メーカーは、付加価値の高い新素材開発を軸にした成長を図っている。

【展望】
化学業界は、生産能力の向上を背景に、北米と中国の勢いが増している。こうしたグローバル競争を勝ち抜くため、日本企業は強みをより一層強化するための事業集中や異業種との連携、M&A、さらには新規事業の育成などにも取り組んでいる。繊維業界も新素材開発を強化するため、事業集中やM&Aなどを推進している。こうした取り組みから、保温機能や耐環境性など、さまざまな特徴を持つ新素材が誕生しており、衣料はもちろん、航空機や自動車、さらには風力発電翼やガスタンクといった新市場も開拓。こうした特徴をグローバル市場でどのように発揮し、新市場を獲得するかに注目が集まっている。

化粧品・生活用品

知名度が高く、身近で親しみのある企業が中心
将来を見据えて、各社とも海外戦略を積極的に展開

【基礎知識】
化粧品は口紅などのメイク用品をはじめ、スキンケア、ヘアケア、フレグランスなど、分野は多彩。業態も総合メーカーから専業メーカーまで、さまざまだ。近年目を引くのは、食品や医薬品といった異業種からの参入。既存事業で開発した素材や技術を、化粧品に応用する取り組みが相次いでいる。生活用品は、シャンプー、紙おむつ、芳香剤などを手掛ける業界。トイレタリーとも呼ばれるこの業界の特徴は、生活必需品であることから常に一定量の需要があることだ。ともに一般消費者がメインターゲットであることから、知名度の高い企業が多い。

【展望】
一時期に比べれば落ち着いてきたものの、2業界の国内需要は、まだまだ「爆買い」と呼ばれるインバウンド(訪日外国人旅行客)消費に支えられている。また、化粧品では価値観の多様化を反映した特定ニーズに対応した商品や、男性向け商品の市場が拡大傾向にある。一方、将来に向けての課題になっているのは、人口減少への対応。生活用品も一定需要はあるものの、国内市場は、ほぼ飽和状態にある。こうした課題を見据えて2業界とも対応を進めているのが、ECサイトを通じた外国販売や海外子会社の設立といった、海外市場の開拓だ。主な市場は、購買力が高まりつつある新興国。化粧品は、購買力のある富裕層へのアプローチも行っている。

飲料・食品

中期的には拡大傾向にある国内市場
将来的な成長は積極的な海外進出が担う

【基礎知識】
飲料業界に属するのは、清涼飲料水や酒類を製造して販売する企業。食品業界は、小麦粉や調味料などの食品原料をはじめ、冷凍食品・菓子・乳製品といった加工食品などを製造・販売する企業で構成されている。この業界は日々の生活と密着していることから、基本的に市場全体は安定しており、変化もなだらかなのが特徴だ。

【展望】
中期的な市場は、拡大傾向にある。飲料を牽引しているのは、高付加価値品だ。消費者のニーズをとらえた機能性食品やエナジードリンク、製法や味にこだわったプレミアムビールなどがヒット。食品では、高齢化が進んだことで健康食品や介護食が注目されているほか、女性の社会進出によって惣菜品や冷凍食品、増加する単身世帯に需要がある小サイズの加工食品など、社会動向に合致した商品市場が伸びている。しかしながら、長期的には人口減少の影響で、どちらの市場も縮小が予想されている。そこで、大手メーカーを中心に目を向けているのが、海外だ。特に、人口増加・経済発展の著しいインドやASEANへの進出が加速している。

医薬品

市場は過去最大規模に成長との予測
新薬メーカーにも後発薬メーカーにも成長のチャンス

【基礎知識】
人々の健康に取り組む医薬品業界を構成するのは、医療用医薬品の新薬を生み出す「先発医薬品メーカー」、特許が切れた先発医薬品のコピーを作る「後発医薬品(ジェネリック)メーカー」と、漢方薬やOTC医薬品※1を扱う「その他メーカー」。市場の9割以上は、医療用医薬品が占めている。その新薬開発には10年以上の期間と数百億円の開発費用がかかるものの、成功確率は3万分の1以下。有望な新薬候補を発見するため、豊富な資金獲得をめざしたグローバル規模のM&Aが繰り返されている。

【展望】
高齢化が追い風となり、日本の医療用医薬品市場は2021年までに過去最大規模に到達すると予測されている。また、産官学の共同で新薬創出を加速するAIの開発を進めており、これが軌道に乗ることで効率的な創薬が可能になるとの期待も高まる。その一方で、巨大資本を持つ海外医薬品メーカーの日本進出が進む中、国内医薬品メーカーは開発力強化のため、国内外の有望なバイオベンチャーの買収を積極的に行っている。後発医薬品メーカーも、政府が後発薬の使用シェアについて目標を掲げたことから、一段と存在感が高まっている。

※1 薬局やドラッグストアなどで販売されている一般用医薬品。カウンター越し(=Over The Counter)に販売されることから、こう呼ばれている

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商社

大きく「トレーディング」と「事業投資」の2事業を展開するのが、商社だ。トレーディングとは、仲介業者として国内外にある商材の需要と供給を結びつけること。たとえば、海外の資源会社と日本メーカーの間に入って両社をつなぎ、原料のスムーズなやり取りを実現する。事業投資は、資金・人材・経営ノウハウといった経営資源を対象企業に投入し、事業経営をサポート。出資先企業の価値を向上させることで、収益を得るというものだ。扱う商材は、ラーメンからロケットまで多種多様。商社には、こうした幅広い商材をトータルに扱う「総合商社」と、特定の分野に特化した「専門商社」がある。

総合商社

今後の成長要因として注目される
「環境」「生活・食品関連」「テクノロジー」への対応

【基礎知識】
総合商社という業態は海外になく、日本独特のものだ。扱う商材が幅広いことから企業規模は大きく、業界規模も他業界と比較して群を抜いている。総合商社の特徴は、ビジネスに取り組む姿勢にある。企業ごとに強みとなる得意分野があるものの、時代の流れから事業のライフサイクルを読み取り、手掛ける事業(事業ポートフォリオ※1)を常に見直して、有望な事業に軸足を移す。この取り組みをグローバルな視点で展開することにより、成長を続けている。

【展望】
世界経済の拡大を背景に、業界全体は上向きだ。資源事業は資源価格の上昇が業績を押し上げ、高度医療や衣食住関連などの非資源事業も各社の戦略が的を射ていたことから、最高益を更新した企業も多い。今後の成長を左右する要因として注目されているのは、「環境」「生活・食品関連」「テクノロジー」への対応だ。「環境」が注目されるのは、世界各国で対応が進められている、クリーンエネルギー需要が高まっているため。「生活・食品関連」はグローバルな人口が年々増加し、各国で衣食住の需要が高まっているため。「テクノロジー」は技術の進化がさまざまな産業に効率化をもたらし、成長をリードする力になるためだ。この3要素を、どのような形でビジネスに取り込んでいくか。その内容を見定めることが、今後の成長を予測するヒントになると考えられている。

※1 手掛けている各事業やその組み合わせによる収益性、安全性、成長性などが確認できるように一覧化したもの

専門商社

将来の成長を見据え、専門特化した知識を活かして
商品開発や海外市場開拓などに取り組む企業が増加

【基礎知識】
専門商社の強みは、特化した領域で高い専門性を持ち、存在感を示していることだ。企業分類は、食料品系・機械系・インテリア系といった手掛ける分野別のほか、大手メーカーとの関係が深い「メーカー系」、総合商社とのつながりがある「総合商社系」、特定の関係は持たない「独立系」という分け方もある。事業はトレーディングが中心。市場は国内に依存する比率が高い。

【展望】
ここ数年は、市場規模に大きな変動はないものの、長期的に見ると国内市場は飽和状態になる。そのための対応が始まっている。まずは、海外進出。市場として未開拓の国や地域で、どのような戦略を展開していくのか、その内容が成長を左右する大きなポイントになっている。また、業務の効率化と顧客ニーズへの対応力を強化するため、M&Aも進んでいる。もうひとつは、トレーディング以外にも業務範囲を広げるケースで、企画・開発に取り組む企業も増えている。食品商社であれば、消費者ニーズを理解している強みを生かして、独自ブランドの開発やメーカーの新商品開発を支援。さらに、販売チャネルの開拓まで支援する動きもある。このほか、メーカーに投資して製品開発に乗り出すなど、事業投資に注力する企業も。蓄積してきた専門分野の知見という強みを、どのように成長と結びつけるか。そこに成長の鍵が隠されている。

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金融

"金"銭の"融"通をビジネスにしているのが、金融だ。金融業務は、「貸し手」「金融機関」「借り手」で成り立っている。「金融機関」は、さまざまな金融商品を企業や個人などの「貸し手」に販売し、お金を預かる。預かったお金を、「金融機関」は融通してほしい企業や個人などの「借り手」に貸し出す。返済時には、貸した金額に利子を上乗せして戻してもらう。この利子で主な収益をあげているのが、金融業界だ。業態の違いから、銀行、証券、保険、信販などに分類されるが、基本的な仕組みは同じ。お金の流れが止まると、企業や個人はもちろん、自治体も国も、活動がストップしてしまう。健全な活動のために、お金という血液を送り込む心臓のような存在が、金融だ。

銀行

先進技術との融合やキャッシュレス対応など
巨大市場を維持するための新たな取り組みに注目

【基礎知識】
銀行が取り組む業務は主に、お金を預かる「預金業務」、融資を検討して実施する「貸付業務」、振込送金などを行う「為替業務」の3つ。それぞれ、個人や中小企業向けの「リテール」と、大企業向けの「ホールセール」に分類される。市場規模は、日本の主要業界トップ10に入るほど巨大で、その中心に位置するのが「都市銀行」。中でも巨大なビジネスを展開している上位3行は「メガバンク」と呼ばれる。銀行にはこのほか、特定地域でビジネスを行う「地方銀行」、銀行業務に加えて顧客の資産運用などの信託業務も行う「信託銀行」、特定の地域や業種を対象に相互扶助の理念に基づいて活動する「信用金庫・信用組合」、ネット限定で業務を行う「ネット銀行」がある。

【展望】
銀行の収益は、マイナス金利政策の影響で縮小。地方銀行では、人口減少と高齢化による経済の停滞なども加わり、収益の改善をめざして近隣銀行との再編が加速している。もうひとつ注目されているのが、先進テクノロジーの波が押し寄せていることだ。窓口業務にロボットやAI・RPA※1の導入が始まっているほか、資産運用の確度向上や新サービス開発ではフィンテック※2の利用が本格化しており、メガバンクでは経営の効率化に向けた導入も進んでいる。また、IT系の大手やベンチャー企業が、貸付や為替業務、さらには仮想通貨などで金融サービスに参入し、銀行にとって新たな脅威になっている。こうした厳しい環境にあるものの、今後も市場は同様の規模が維持されると考えられており、顧客の期待に応える価値創造が期待されている。その期待に応えるために、実現してきた価値と先進テクノロジーの融合で、新たなビジネスモデルを確立することが、今後の成長の絶対条件になっている。また、キャッシュレス化の潮流に、どう対応するのかも、注目点のひとつだ。

※1 Robotic Process Automation:これまで人間が行ってきた業務をAI や機械学習などを導入した自動化工程に移行(ロボット化)し、業務の効率化を図ること
※2 ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を併せた造語。ICT(情報通信技術)を駆使して革新的な金融商品やサービスを生み出す技術や取り組みのこと

証券

政府主導の取り組みで、ビジネスチャンスは拡大
成長のチャンスを左右する最新技術への対応

【基礎知識】
証券は、株式や債券(国債や社債など)といった金融商品の売買を手掛ける企業で構成されている業界。売買による利益が多く得られるよう、投資家に情報や助言を提供し、その成果に応じて収益を得るのが基本の事業モデルだ。業態としては大きく、店舗を設置して法人・個人顧客と取引する「従来型証券会社」と、個人顧客を対象にインターネットで取引する「ネット系証券会社」の2つがある。従来型証券の特徴は、顧客と対面しながら、きめ細やかな提案ができるところ。一方のネット証券は、店舗の維持コストが必要ないため、売買手数料を安く設定できるところが強みになっている。

【展望】
リテール(個人取引)では、政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、政府主導でNISA※1やiDeCo※2といった新しい仕組みを作ったことで、これまで投資に縁のなかった顧客の取り込みが始まっている。ネット系証券会社は、売買手数料の安さを最大の魅力に顧客を獲得。従来型証券会社は運用ニーズに合わせた情報提供など、資産形成アドバイザーとしての価値と信頼の創造で顧客獲得に取り組んでいる。ホールセール(法人取引)では、「投資銀行業務」に力を入れる証券会社が増えている。これは、M&Aの仲介や財務戦略の助言など、グローバルな視野と最先端の金融技術によって顧客企業を支援する業務で、大手証券では重要な収益源になっている。さらに、業界全体の大きなトレンドとして注目されているのが、インターネットの普及とテクノロジーの進化によって登場する、さまざまな新サービスだ。いち早く顧客に価値のあるサービスを提供することが、成長のチャンスを最大化する要因になると考えられている。

※1 毎年120万円の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる、個人投資家のための税制優遇制度
※2 多くの国民が、より豊かな老後の生活を送るための資産形成方法のひとつとして実施されている私的年金制度。個人型確定拠出年金

保険

長寿化や自動運転車の登場、新興国の動向など
新たな状況に対応した新商品開発が今後の成長をリード

【基礎知識】
保険は、人々を襲う「もしも」の際に助けてくれる業界。大きく分けて、「生命保険会社」と「損害保険会社」がある。生命保険会社は、死亡保険や医療保険、個人年金保険、学資保険などを取り扱う会社。日本企業の生保レディと呼ばれる女性外交員の活躍が業界を牽引してきたが、最近は損害保険会社の子会社や外資系、ネット系の企業も増えている。損害保険会社が取り扱っているのは、自動車保険や火災保険、地震保険、傷害保険など。代理店を通して商品を販売する店舗型、ネットや電話で商品を販売する通販型がある。保険会社は、それぞれリスクに備える商品の販売で保険料を集め、その資金を金融市場で運用することにより、収益を得ている。

【展望】
人口減少は、生命保険業界にとって大きな課題であるものの、長寿化を反映して老後に備えた医療保険や介護保険、年金保険などが好調に推移している。また、新興国では保険の普及率が低いことから、海外法人との業務提携やM&Aなどにより、人口が増加して経済も成長している海外市場へ進出する企業も、大手を中心に増えている。損害保険業界の懸念材料は、高齢者ドライバーによる交通事故件数増で保険金の支払いが増える一方、若者の自動車離れと人口減少で、収益の柱である自動車保険市場の成長に陰りがあることだ。そこで、自動運転の実用化により、新たな自動車保険市場が誕生することに大きな期待が寄せられている。また、生命保険業界と同様に、新興国のニーズに対応した商品開発で成長を図る企業が増えている。

信販・クレジットカード・その他金融

貸金業務に特化したノンバンクと呼ばれる金融機関
キャッシュレス決済も追い風になり、市場は拡大中

【基礎知識】
銀行・証券・保険以外にも、信販・クレジットカード、リース、消費者金融など、ノンバンクと呼ばれる金融機関がある。預金業務はなく、貸金業務だけを実施。再編が活発で、メガバンク傘下の企業が多い。信販・クレジットカードは、消費者が商品やサービスを購入する際の代金を立て替え、その手数料などから利益を得ている。リースは、主に企業が設備を調達するときに、購入を代行して長期にわたって貸し出す事業者。利用者にとっては「多額の資金を準備せずに設備投資できる」「メンテナンスや廃棄を任せられる」といったメリットがあり、利用率は上昇している。消費者金融は、個人の生活資金や自営業者の事業資金など、小口融資を無担保で行う企業だ。銀行より金利は高いが、手軽で利用しやすいことが特徴。海外からは、ATM対応などの機械化推進が貸金業の近代的ビジネスモデルとして評価された。

【展望】
信販・クレジットカードは、スーパーやコンビニなどでの少額利用やネット通販の隆盛、さらには政府が主導するキャッシュレス決済の存在感が高まったことで、ビジネスチャンスは広がっている。しかしながら、同業他社との競争は激化しており、セキュリティや電子決済サービス会社をはじめとする他業界との連携も積極的に進め、「使ってもらえるサービス」になるための価値創造に注力している。リースは、民間設備投資の国内利用率が欧米に比べて低いことから、国内成長の余地があると考えられている。キャッシュレス決済の振興によるレジ端末の需要増も見込まれている。また、海外でも環境整備が進む新興国をはじめ、太陽光発電や航空機のリース需要が拡大していることから、各種ニーズに対応する体制作りが進んでいる。消費者金融は、業界再編が一段落。利便性はそのままに、健全性を高めて利用者を拡大する新たなビジネスモデルの構築が進んでいる。

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流通

流通業界が担っているのは、生産者が作り出した商品を、消費者の手元に届けること。さまざまな業態の企業で構成されているが、その中で商社などの卸売業から商品を仕入れ、消費者に販売しているのが、小売業だ。小売業には大きく2つのスタイルがあり、リアル店舗での販売が主体の一般的な小売業と、通販などの店舗を持たない無店舗小売業に分けられる。購入チャネルが多様化したことにより、今後の成長を見据えた取り組みとして、単に商品を提供するのではなく、消費すること自体がワクワクするような仕掛けや店舗作りによって購入意欲を高める取り組みが活発に進んでいる。

通販

スマホやスマートスピーカー※1の普及で
今後も成長するネット通販へ、さまざまな通販事業者が参入

【基礎知識】
無店舗小売業のひとつで、メディアに商品を展示し、メディア経由で消費者から注文を受け、商品を販売するのが通販(通信販売)だ。業界の主役は、EC※2専業者が運営しているネット通販だ。インターネット、中でもスマホの普及により、ユーザーが拡大。これを受け、EC専業者は自社サイトへの出店誘致を積極的に行い、取扱品目の拡充と顧客サービスの充実により、市場は年々拡大している。ネット通販に続く規模を持つのは、シニア層に定着しているカタログ通販。そして、テレビ通販、ラジオ通販と続いている。参画企業は、各事業の専門企業と総合通販事業者に加えて、オムニチャネル※3を推進する小売業もある。

【展望】
ネット通販市場は、今後も大きく伸びると予測されている。その理由は、取扱品目や顧客サービスの拡充はもちろん、スマートスピーカーの普及など、簡単に発注できる環境がますます日々の暮らしに入り込んでくると考えられているからだ。また、実店舗で商品を確認してからネット通販で購入するという購買プロセスも、引き続き拡大すると予想されている。こうした成長予測から、ネット通販に進出する総合通販事業者や、オムニチャネルを推進する小売業の参入も増えている。一方、テレビ通販は、引き続きテレビ通販の専門企業が注力。健康食品や健康器具、サプリメント、機能性下着など、取扱品目の拡充に努めている。

※1 音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つ対話型スピーカー。内蔵マイクで音声を認識し、情報の検索や連携家電の操作などを行う。AIスピーカーと呼ばれることもある
※2 Electronic Commerce:インターネットなどのネットワークを利用して、売買や決済、サービスの契約などを行う電子商取引のこと
※3 Omni-Channel:店舗、イベント、インターネット、モバイルなど、チャネルを問わずに、あらゆる場所で顧客と接点を持つ戦略。小売業におけるマルチチャネルの進化形

専門店

少子高齢化や多様化する消費者ニーズなど
社会動向をとらえたビジネスモデルの構築が急務

【基礎知識】
専門店には、いくつかの業態がある。「アパレル」は、衣料品を扱う事業者だ。生活必需品ではあるものの、消費者ニーズの多様化を背景に業績は二極化。ファストファッション※1が増収増益を続ける一方、一時代を築いた有名企業が業績低迷に陥った例も少なくない。無店舗形態でビジネスを展開する企業も増えている。「ドラッグストア」では、医薬品や化粧品を中心に、日用品なども扱っている。「家電量販店」が扱っているのは、生活家電。低価格と充実した品揃えで成長してきたが、市場は成熟し、競争が激化している。「ホームセンター」は、DIY※2用品をはじめ、"ないものはない"多彩な品揃えが特徴だ。

【展望】
アパレルの国内市場は、少子高齢化のため、大幅な成長は考えにくい。そこで注目されているのが、IT・AIを駆使して消費者ニーズを予測し、確実に売れる商品が提供できる仕組みの構築だ。また、人口が増加し、購買意欲が高まっている海外市場への対応が今後の大きな成長要因になるため、ここでも多くの企業がIT・AIの活用を検討している。ドラッグストアは、規模の拡大が成長につながるため、今後もM&Aが続くと予想。長期的には高齢化などの社会動向をとらえ、地域包括ケアシステム対応など、新たな事業展開を図る企業が増えると考えられている。家電量販店は、同業他社に加えてネット通販との競争も激化しているため、非家電領域の品揃えを強化したり、住宅・リフォーム事業に進出するなど、各社が独自戦略で成長路線を築こうとしている。ホームセンターは、多彩な品揃えで競合との差別化を図るため、これまでは店舗数と売場面積の拡大を推進してきた。だが、単純な品揃えではネット通販が有利なことから、ネット通販にはできない対面販売によるサービス提供など、新たな需要を喚起するビジネスモデルの構築が急務となっている。

※1 流行のデザインを採り入れながら価格を抑えた衣料品を、短期サイクルで大量に生産・販売するアパレルブランド企業
※2 Do It Yourself:専門業者でない人が、何かを自分で作ったり修繕したりすること

百貨店

今後の成長要因は、「脱・百貨店」スタイル
若年層の獲得や海外出店など、新市場の開拓が重要に

【基礎知識】
百貨店は、高級品を中心に衣・食・住の幅広い品揃えと、スマートできめ細かな接客という特徴を持つ小売業態だ。最近は海外の超一流ブランドも出店し、華やかさを増している店舗も目立つ。商品の取引形態にも特徴があり、多くは納品された商品が販売された時点で仕入れたことになる「消化仕入れ」という取引形態を取っている。このメリットは在庫リスクがないこと。だが、品揃えや価格設定の主導権は納入業者にあるため、他店との差別化が図りにくい状況が発生している。そこで、「買取仕入れ」で百貨店が自ら商品を発注して販売する「自主編集売り場」により、"らしさ"のアピールに取り組んでいる。

【展望】
業績を支えてきた、インバウンド(訪日外国人旅行客)による「爆買い」が一段落。オリンピック需要は見込まれるものの、従来ほどの勢いはないとの予測が強い。長期的な見通しも、人口減少や消費動向の変化、節約志向の定着化などから、厳しいと見られている。こうした状況を見据え、百貨店各社は不採算店の整理や基幹店のリニューアル・増床、M&Aなどにより、経営の効率化と売上の拡大に取り組んでいる。さらに、今後の成長に向けて着手しているのが、買い物に強い関心を持つ若年層の獲得や海外出店といった、新市場の開拓だ。積極的な広報戦略、新しいブランドの確立、これまでにないサービスの創造といった新たなチャレンジが、重要なテーマになると考えられている。

スーパー・コンビニエンスストア

新たな成長要因として各社が注力するネットスーパー
コンビニは新商品開発と海外展開に注目

【基礎知識】
食品を中心に、常時1万点以上の商品を取り揃えているスーパー。人々の生活になくてはならないライフラインとしての存在感も高まっている。スーパーの中でも、衣料品や家電まで揃える総合スーパーはGMS※1と呼ばれ、店内で何でも揃う利便性と大量仕入れによる低価格を実現している。大手GMSはM&Aによって規模を拡大し、圧倒的な売上を上げている。コンビニエンスストアは、年中無休で長時間営業する小売店のこと。小規模店舗に食品など各種の商品を取り揃えているほか、公的証明書の発行機能も備え、地域のインフラとしての役割も果たしている。業界は現在、上位3社を中心に熾烈な競争が展開されている。

【展望】
スーパーで業績が好調なのは、食品スーパーと生鮮スーパー。これからも地域に密着したサービスの提供で、売上増が見込まれている。さらに、インターネットで注文を受け、自宅に配送するネットスーパー市場も拡大中。共働きや高齢者世帯が増加していることから、ネットスーパーは今後の成長分野と見られており、各社とも注力している。また、地方の中堅スーパーは、地域密着だけでの成長は厳しいため、全国規模での資本提携やM&Aでコスト低減と事業拡大を図り、成長への道筋を探る動きが活発になっている。コンビニの市場は、年々成長している。その要因は、電子カード決済の普及とITを活用した商品開発の効率化など。単身・共働き世帯の増加を見据えた日配食品※2の拡充も、成長に大きく貢献している。このままの勢いで成長すれば、数年でスーパーの市場規模に並ぶとの予測もある。その一方で、24時間営業の見直しや店舗数の飽和、新消費税に対する軽減税率導入等の複雑な対策の必要性といった懸念材料もある。そこで、顧客を飽きさせない商品開発や海外展開などが、今後の成長をリードする取り組みとして注目されている。

※1 General Merchandise Store:ゼネラルマーチャンダイズストア
※2 毎日店舗に配送される食品のこと。弁当や惣菜など

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情報・通信

情報通信は、「情報処理」「通信」「インターネットサービス」に分類される。情報処理は、ソフトウェアの開発や情報システムの構築、データ解析など、情報の入手から加工、活用に関わる業種だ。通信は、通信基盤を整備して固定通信、移動体通信、ケーブルテレビなどの通信サービスを実現し、情報を効率よく正確に伝送する業種。インターネットサービスは、ユーザーが求める情報を、求める形で、求められるデバイスに最適なスタイルで提供する業種で、音楽や動画のほか、生活、ビジネスに関連する情報など、さまざまなコンテンツを配信している。この業界に属する企業は、IT系・ICT系企業と呼ばれることが多い。

情報処理

新技術への対応で、市場は引き続き成長
その一方で、人材の確保が大きな課題に

【基礎知識】
情報処理は、顧客企業の課題を解決するシステムを企画・開発・運用する企業で、SIer※1と呼ばれる。SIerの中には企画・開発・運用だけでなく、コンサルティングを行っている企業もある。SIerは大きく3つに分類され、コンピュータメーカーを親会社に持つ「メーカー系」、システムを使用している企業を親会社に持つ「ユーザー系」、親会社などの系列を持たない「独立系」がある。また、SIer以外にも、特定専門技術に特化したソリューションを提供する企業もある。情報処理の特徴は、IoT、AI、RPA、フィンテック、クラウドサービス※2、ビッグデータ、セキュリティなど、新しい技術や概念が登場するたびに従来は難しかった課題解決が可能になり、新市場が創出されることだ。そのため、今後も成長は続くと見られており、巨大な新市場が誕生する可能性も大いにある。

【展望】
あらゆる産業でデジタルトランスフォーメーション※3が加速しており、業界に対するニーズは、ますます高まっている。さらに、企業各社が直面している課題は、さまざまな事柄が複雑に絡み合っていることが多く、解決の難度は高度化している。そのため、複数の技術を連携させて課題解決に当たることが増えており、案件の受注額は高まっている。これからも、働き方改革に起因する業務効率化や、自動車・産業機械の自動運転、製造工程を改革する第四次産業革命など、働きやすさ、暮らしやすさを実現するために、解決すべき課題は目白押しだ。こうした状況から、システムの運用業務を請け負うアウトソーシング※4を含め、市場は引き続き成長すると予想されている。その一方で、先端技術を担う人材が不足するという懸念は大きく、優秀な人材の確保が今後の成長を左右する重要な課題のひとつになっている。

※1 Mobile Virtual Network Operator:携帯キャリアの設備を借り受けて、自社ブランドの移動体通信サービスを提供する事業者
※2 ネットワーク上でデータの処理・保存・管理などの機能を提供するサービス
※3 Digital transformation(DX):「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念。デジタルテクノロジーを駆使して経営の在り方やビジネスプロセスを再構築することで、人とITの関係性を変革し、事業の範囲や業績の上げ方、顧客との関係や従業員の働き方などを、よりよい方向へ変えること
※4 Outsourcing:外部委託。従来は顧客企業内で行っていた業務を、外部組織の専門事業者が請け負い、サービスとして提供すること

通信

5G時代の到来で期待が高まる市場の拡大
新規参入する携帯キャリアの動向にも注目

【基礎知識】
通信事業者はキャリアとも呼ばれ、使用回線の種類によって、大きく3つに分類される。(1)オフィスや個人宅の固定電話やPCにつないで使う光回線のように、大容量のデータが高速でやり取りできる有線の「固定回線」を提供しているキャリア。このグループの中核を構成しているのは、以前から固定電話回線を提供してきた企業と電力会社系列の通信事業者、そしてケーブルテレビサービスを提供している企業だ。(2)スマートフォンやタブレットなど、移動体通信向けに無線の「モバイル回線」を提供している携帯キャリア。日本では運用設備・回線を自社で持つ大手携帯キャリアと呼ばれる企業が3社あり、大手携帯キャリアから運用回線を借りてサービスを提供する数多くのMVNO※1がある。(3)B to B用途を中心に、海外との通信・通話やデータのやり取りを支えている「海底ケーブル・衛星通信」を提供している通信事業者。日本の世帯保有率は、固定電話が約71%で、モバイル端末が約95%。通信は、国民の生活に欠かせない重要な産業になっている。成熟した市場領域ではあるものの、技術の進化によって常に変革の波が訪れ、新たなサービス市場が誕生することから、今後も成長を続けると考えられている。

【展望】
最も注目されているのは、2020年に実用化が始まる次世代通信規格の5Gだ。現在の100倍超という高速性のほか、「多数同時接続」と「超低遅延」も実現。通信の快適さはもちろん、VR/AR/MRの日常利用、スマートシティ※2の普及、IoTの進化によるビジネスの効率化や新たな産業の創出、自動運転の支援、遠隔医療の進化など、魅力あるさまざまな事態の実現が想定されることから、通信各社がどのような取り組みを推進して新しいサービス、新しい社会の実現に貢献し、業績を伸ばしていくのか、熱い視線が注がれている。もうひとつのトピックは、現在MVNOとしてサービスを提供している1社が自社設備・回線を整え、2019年10月から第4の携帯キャリアとしての事業展開を予定していることだ。どのようなサービスで大手3社をはじめとする他社からの乗り換えや新規顧客を獲得するのか、その動向に大きな注目が集まっている。

※1 Mobile Virtual Network Operator:携帯キャリアの設備を借り受けて、自社ブランドの移動体通信サービスを提供する事業者
※2 情報通信技術や人工知能、ビッグデータなどの先端技術を利用して、エネルギーや交通、行政サービスなどのインフラを効率的に管理・運営し、環境に配慮しながら人々の生活の質を高め、便利な暮らしの実現を目的につくられた都市のこと

インターネットサービス

ネットユーザーの拡大を背景に
今後も引き続き高レベルで成長

【基礎知識】
業界を構成するのは、4事業。「ポータルサイト事業」が取り組むのは、ニュースなどの情報サービスや通販などを手掛けるWebサイトの運営だ。集客力がビジネスと直結しており、利用者が多いほど掲載広告や通販の売上が増えることから、利用者を増やす工夫に各社注力している。「モバイルコンテンツ事業」は、モバイル端末向けに各種コンテンツを配信する事業。スマートフォンやタブレットの利用者が増えたことで、市場は急速に発展している。当初はゲームが成長を牽引したが、最近は実用情報が成長を担っている。「動画配信事業」は、映画やテレビ番組などの動画コンテンツを、利用者が観たいときに選んで視聴できるようにしたサービスだ。使いやすい環境の実現、通信回線の高性能化、コンテンツの充実、定額サービスの提供により、ここ数年で一気に市民権を獲得。市場は年平均6%以上成長し、2023年には3,000億円まで拡大すると見込まれている。「ネット広告事業」は、Webサイトやメールを使用した宣伝活動を担う事業。広告費全体の約3割、テレビに次ぐ国内2位の広告規模に成長した。独立系や広告会社系、商社系など、多くの企業が事業を展開している。

【展望】
「ポータルサイト」で目立つのは、大手による事業の多様化・多角化だ。提供コンテンツや販売商品の多様化はもとより、金融業や旅行業などさまざまな事業領域へ積極進出。ひとつのサイトにアクセスするだけであらゆるニーズが満たせることから多くのユーザーを集めることに成功し、業績も好調なことから、多様化は今後も進むと考えられている。一方、中小サイトは専門領域に特化し、差別化の創出によってコアなユーザーの獲得に注力している。「モバイルコンテンツ」の市場自体は拡大傾向にあるものの、中心ユーザーが若年層のためにトレンド変化が激しく、企業単位では経営の安定性を維持するのが、とても厳しい状況にある。幅広いマーケティング活動によって常にユーザーのトレンドを見極め、話題性のあるサービス投入が成長の条件になっている。「動画配信」の成長を左右するのは、コンテンツの充実度だ。話題になった新旧の映画やヒットしたテレビ番組はもちろん、最近は動画配信会社が独自に企画した作品評価が口コミで広がり、新たなユーザー獲得の力になることも増えている。「ネット広告」は、今後もネットユーザーが増え続けることから、出稿量は拡大。モバイル向け広告と動画広告が事業をリードし、今後も年間10%以上の成長を続けると予測されている。

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運輸・エネルギー

運輸業は、輸送機器を使って人やモノを運ぶビジネス。トラック、船舶、列車、飛行機など自ら輸送手段を持つ事業者のほか、フォワーダー※1や3PL※2など、独自の戦略で輸送サービスを提供している事業者もある。長期的には国内需要が縮小傾向にあることから、海外需要への対応が本格化している。エネルギー業は、石油や液化天然ガス(LNG)など多様な原料からエネルギーを生産・供給する事業。探鉱、開発、生産といった資源開発や、新燃料・再生可能エネルギー関連など、事業の多角化が進行している。電力・ガス業界は小売の自由化により、他業種からの新規参入組も含めて競争が激化。顧客の囲い込みや新規獲得に向けた各社の戦略に注目が集まっている。

※1 国際物流のプロフェッショナル。自らは輸送手段を持たず、荷主と直接契約して、その内容に応じて最適な輸送手段を選択して国際貨物輸送を行う事業者
※2 Third(3rd)Party Logistics:輸送サービスだけでなく、物流システム全体を荷主に提案し、全体業務を受託する事業者

陸運

ネット通販の拡大を背景に、成長する市場
労働環境の改善にも積極的で、海外展開も加速

【基礎知識】
陸運は、貨物輸送のほとんどをトラック輸送が占めている。業界を構成するのは、法人需要に対応する「企業物流事業者」と、個人需要に応える「宅配事業者」。大手は両者の需要を取り込み、大きな存在感を示している。そこで、輸送能力とサービスラインナップをさらに拡充するため、M&Aも積極的に行われている。業界が抱える最大の課題は、ドライバー不足だ。そのため、人材確保に伴う費用や、省力・省人化の実現に向けた高速道路での自動運転走行、ドローン配送といった先進技術の導入費用負担が業績に与える影響は少なくない。しかしながら、荷主も安定した輸送能力を確保するために運賃値上げを受け入れると見られ、業績はしばらく好調に推移すると予測されている。また、モーダルシフト※1の影響にも注目だ。

【展望】
宅配の輸送量は、最高水準を継続。通販商品を納入する企業物流と宅配は、堅調に推移すると見込まれている。そのため、大規模物流拠点の新設・整備など、荷受け業務の効率化と高速化に向けた動きが進んでいる。その一方で、宅配の小口化・再配達の増加が進展し、配送業務の効率性低下・負担増加は深刻さを増している。そこで、生産性向上と労働環境改善に向けた3PLが進むことで、業界の収益性はさらに増すと考えられている。将来的には国内のネット通販市場も成熟することから、海外展開も加速している。メインターゲットは、成長が著しいアジア市場。宅配ネットワークの整備や3PL対応など、アジア市場の開拓はさらに強まると予想されている。

※1 環境負荷を低減するため、トラックによる幹線貨物輸送を、大量輸送が可能な海運や鉄道に転換すること

海運

世界を舞台に日本経済を支えるビジネス
グローバルな景気回復を背景に業績は堅調

【基礎知識】
海運業は、船舶で海上輸送を行う業界。長距離の大量輸送や重量物輸送が低コストで行えることが特徴だ。国内輸送を担う「内航海運」と海外輸送を担う「外航海運」に分けられる。船の種類としては、コンテナを運ぶ「コンテナ船※1」、梱包せずに運べる「バラ積み船※2」、液体を運ぶ「タンカー」がある。コンテナ船は工業製品や加工済み食品などの輸送、バラ積み船は穀物や鉱石などの輸送、タンカーは原油などの輸送に利用される。このほか、自動車のみを運ぶ自動車船などもある。一部の海運会社は、一般向けにフェリーなどの旅客船運航も行っている。

【展望】
北米と欧州の緩やかな経済回復に加え、東アジア地域の経済成長が続くことから、各航路とも輸送量は増加傾向にある。近年、船腹量※3の供給過剰が問題になっていたが、需要の高まりで需給のバランスは改善に向かうと予想されている。特に大手3社は、コンテナ船事業を統合して運航航路を共有することから、効率的な運航の実現と燃焼コストの削減で、業績は向上する見通しだ。海運ビジネスは1件1件が巨額で、世界と日本を結ぶ重要な業務であることから、日本経済を支えるビジネスとして期待されている。

※1 定期船と呼ばれることもある
※2 バルカー(bulker)と呼ばれることもある。また、定期船に対応し、バルカーとタンカーを合わせて「不定期船」と呼ぶこともある
※3 船舶による輸送能力のこと

航空

旅客市場は今後、数十年にわたり世界で成長
貨物市場も成長するものの、鍵を握るのは中国経済の動向

【基礎知識】
人を運ぶ「旅客分野」と、荷物を運ぶ「貨物分野」に分けられる。旅客分野を構成するのは、FSA※1とLCC※2だ。FSAは、路線網が豊富で多様なサービスを行う既存航空会社のこと。一方、LCC最大の特徴は低料金だ。グローバルではLCCが2~3割のシェアを獲得しているのに対し、日本では約1割。そこで日本政府は、LCCのシェア拡大を支持しており、LCC各社の追い風になっている。貨物分野は、国内貨物と国際貨物があり、輸送の対象は、高い輸送コストを価格転嫁できる半導体、工業材料、医薬品などの高付加価値商品だ。

【展望】
旅客分野は、今後数十年にわたり、右肩上がりの成長が世界全体で続くと見込まれている。その要因は、アジア各国の経済発展と中間層の人口拡大。この新たな航空需要の出現により、2030年の市場規模は現在の2.5倍以上になると予測されている。こうしたなか、FSAはマイレージやラウンジの充実などで差別化を図っているほか、客単価が高い路線に注力し、低価格路線は子会社のLCCに任せる傾向にある。外資系LCCも運航路線を特化して利用者の獲得を強化するなど、航空各社の競争はさらに激化する見通しだ。貨物は近年、国内=安定・国際=拡大で推移している。この傾向が今後も続くと予想されているものの、日中貿易戦争の影響で電子部品や半導体製造装置の対中輸出が減少傾向にあり、今後の動向に注目が集まっている。

※1 Full Service Airline:FSC(Full Service Carrier)やレガシーキャリアと呼ばれることもある
※2 Low Cost Carrier:格安航空会社と呼ばれている

鉄道

より効率的な運行と新たな収入源の獲得に注力
非鉄道事業は今後も積極的に展開

【基礎知識】
鉄道は、日本のインフラを支える重要な業界だ。通勤や通学などの移動手段としてなくてはならないものであり、地域への貢献度は高い。中核は鉄道を利用した旅客・貨物の輸送事業だが、沿線の利便性を高めるために、バスやタクシー事業にも取り組んでいる。こうした事業の特徴から、景気の影響は受けにくい。しかしながら、人口減少に伴う利用者減が予測されるため、利用客を増加させるための多角化に各社とも注力している。主な事業としては、沿線の住宅開発に代表される不動産事業のほか、百貨店・商業施設などの流通事業、ホテル・レジャー事業、クレジットカード事業などだ。

【展望】
過疎化が進む地方では、いかにして事業を維持するかが重要なテーマになっている。また、ホームドアの設置やバリアフリー設備の強化に伴うコスト増は、鉄道全社が抱える課題だ。そのため、より効率的な運行と新たな収入源の獲得に向け、各社の取り組みが進んでいる。そのひとつが、新規路線や新駅の開業による新規利用者の獲得だ。また、隣接する他社との相互乗り入れによる直通運転路線の拡大は、乗降駅の活性化や利用者増につながっている。豪華観光列車の導入も旅行需要の獲得・拡大を実現し、新たな方向性を導き出した。このほか、利用者増をめざした非鉄道事業も、引き続き推進されると予想されている。今後、積極さが増すと見られているのが、高速鉄道システムの輸出だ。海外の高速鉄道需要は増加傾向にあることから、2027年に運行が始まるリニア中央新幹線を含め、乗り心地のよい車両技術や安全で定時に運行できる鉄道システムの海外展開が視野に入っている。このように、従来の収益モデルにはこだわらず、新たな視点からの事業モデル確立が、ますます必要になっている。

電力

電力自由化で多くの企業が参入
クリーンな電力を安定供給する各社の戦略に注目

【基礎知識】
従来、電力業界は地域独占事業で他社との競争はなく、安定した環境の中で、電力の安定供給とクリーンエネルギーの創生が主な業務だった。ところが、2016年に電気小売業への参入が全面自由化され、ガス、石油、通信など、多くの異業種企業が“新電力”として新規参入した。電気事業は現在、「発電事業」「送配電事業」「小売電気事業」に分類されており、旧来の電力会社はこの3事業すべてを実施。新電力の多くは「小売電気事業者」として、参入している。

【展望】
自由化により、全販売電力量に占める新電力のシェアは10%を超えている。2020年には、電力自由化の総仕上げとして、「発電事業」と「送配電事業」が旧来の電力会社から分離されて中立なものになるため、新電力の勢力は、さらに拡大すると見られている。ただし、競争はより一層激化することから、事業の見直しをはじめ、新電力同士、さらには旧来の電力会社と新電力といった、さまざまなパターンのM&Aが進むことも予想されている。将来的には「電気・ガス・石油を融合した総合エネルギー企業」をめざしている企業も多いことから、クリーンな電力の安定供給と市場競争をどのようにクリアしていくのか、各社の動きが注目されている。

ガス

増大する火力発電へのガス供給で業績は好調
注目は、ガス自由化が本格化したときの成長戦略

【基礎知識】
日常生活に欠かせないインフラのひとつであるガスを供給・販売するのが、ガス業界だ。ガス業界は、導管を通じてガスを供給する「都市ガス」業者と、導管の通っていない地域にガスボンベを設置してガスを供給する「プロパンガス(LPガス)」業者がある。従来は電力業界と同様、担当地域が決まっており、競争のない安定した業界だったが、2017年からガスの自由化が始まった。石油、通信、商社など、多くの異業種企業から新規参入の声は上がっているが、電気ほど進んでいないのが現状だ。

【展望】
原子力発電の停止で火力発電が増大したことから、その燃料となるガスの供給が増加し、近年の業績は好調だ。“新電力”としてのビジネスも、順調な進捗を見せている。さらに、ガスで電気とお湯を発生させる「エネファーム」「エコウィル」などの省エネ型製品の業績も順調。また、バイオマス発電や地熱発電といった新エネルギーへの事業展開を見据えている企業も多い。ただ、プロパンガス業界も含め、ガス全面自由化に伴う動きは、これからが本番だ。新規参入が加速したとき、提携やM&Aを含め、どのような戦略で事業を拡充・創造するか、注目だ。

石油

市場は巨大で需要も多い。将来を見据えて
グローバル化や総合エネルギー企業への転換を推進

【基礎知識】
国内需要が減少傾向にあることから、今後を見据えた成長戦略として、大きく3つの動きが顕在化している。まずは、ガソリンなどの燃料油の販売だけでなく、潤滑油や機能材といった石油製品の開発・販売を強化する動きだ。次に、新興国では今後も燃料油需要が伸長することから、アジア市場を中心としたグローバル展開が加速している。そして3つ目が、風力、太陽光、地熱、バイオマスといったCO?を排出しない新エネルギーへの対応だ。石油はいずれ枯渇する資源であることから、電気とガスも視野に入れた総合エネルギー企業として、幅広いエネルギー関連製品とサービスを提供する企業への転換を図っている。

【展望】
国内需要の減少傾向や枯渇資源にある石油は、今後を見据えた成長戦略として、大きく3つの動きが顕在化している。まずは、ガソリンなどの燃料油の販売以外に、潤滑油や機能材等、石油製品の開発・販売を強化する動きだ。次に、新興国では今後も燃料油需要が伸長を見込み、アジア市場を中心としたグローバル展開の加速化である。3つ目が、風力、太陽光、地熱、バイオマスといったCO?を排出しない新エネルギーへの対応だ。電気とガスも視野に入れた総合エネルギー企業として、幅広いエネルギー関連製品とサービスを提供する企業への転換を図っている。

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建設・不動産

建設業とは、ダムや道路、土木、ビル、工場、住宅などの建設工事を請け負う事業。業界を構成するのは、あらゆる建設工事を請け負う「ゼネコン」、ゼネコンの下で一部の工事を請け負う「サブコン」、住宅を作る「ハウスメーカー」、工場などを作る「プラントエンジニアリングメーカー」、そして、道路や電気通信といった特定分野に特化した「専門事業者」などだ。不動産業は、建設業が工事して整備した建物や土地などの不動産に関連したビジネスを手掛ける事業。業界を構成するのは主に、ビルやマンションなどを企画して開発する「不動産開発企業」、不動産の販売や賃貸に関わる「不動産流通企業」、不動産の管理を行う「不動産管理企業」がある

住宅

高齢化や環境対応など、多様な需要が顕在化
中小メーカーにもシェア拡大の可能性が

【基礎知識】
住宅は、主に戸建住宅の設計・施工・販売に取り組む業界のこと。顧客の注文に応じて設計・施工する「注文住宅事業」と、土地に建物を建てて売る「分譲住宅事業」がある。業界の大きな特徴は、大手メーカーによる寡占市場ではなく、中小メーカーや地元に根ざした工務店が全体の約8割を占めていること。そのため、多くの消費者に受け入れられる特徴の確立により、シェアを大きく伸ばせる可能性を秘めている業界でもある。

【展望】
国内は少子高齢化を背景に、新築着工戸数が急拡大することはないものの、市場を牽引する多様な需要が顕在化している。そのひとつが、高齢化に対応したバリアフリー化だ。段差をなくして手すりを付けるといった取り組みのほか、ITやAIを活用した自動化で家事の負担を軽減する住宅も増えると予想されている。もうひとつ、『スマートハウス』も大きな注目を集めている。これは、太陽光発電や蓄電池、住宅機器などをITによって最適制御し、環境へのやさしさと快適さと利便性を高めた住宅のことだ。さらに、耐震や耐火といった安心・安全面の需要も高まっている。このほか、リフォームやリノベーションといった既存住宅の改修・改造に関連した市場も拡大中。一部のメーカーでは経済が発展している新興国に優良な住宅を供給し、新たな市場を獲得しようという動きも始まっている。

建設

リニア新幹線など、今後も大型案件が目白押し
成長を支える人材の確保が、今後の焦点

【基礎知識】
官公庁や企業などから建設工事を請け負う企業は、大きく「土木」と「建設」に分けられる。土木は主に、建設を行うための土台作りや道路・橋梁などのインフラ整備を担当。建設は、ビルなどの構造物を造り上げることに携わる。工事には、元請けのゼネコンから下請けのサブコンや専門事業者など、多くの企業が協力して取り組む。大型事業の実施に際しては、全体の計画・調査・設計を担当する建設コンサルタントが参画することも多い。

【展望】
東京オリンピック・パラリンピックの需要で、業界は大きく成長した。今後も、全国の都市部を中心とする再開発や大阪万博、リニア中央新幹線、カジノを中核とする統合型リゾート施設といった大型案件が控えており、さらに、道路や河川・ダム、下水道といった社会インフラが大規模な更新時期を迎えることから、引き続き高水準の成長が期待されている。だが、そのための人材確保が新たな課題として浮上しており、ITの積極活用など、生産性の向上が成長を左右する要因になると考えられている。また、建設コンサルタントも、業界の好況を背景に業績は好調。海外需要も高まっている。

不動産

2020年までは国内事業で好調に推移
その後は積極的なグローバル戦略で新たな成長へ

【基礎知識】
不動産業は、大きく3つの事業に分類できる。まずは、土地を取得して、そこに商業施設やビル、マンション、リゾート施設などの建物を建設したり、街の再開発などを行う「デベロッパー(不動産開発業)」。次に、建設された不動産物件の売買を行う「不動産販売会社」。そして3つ目が、不動産物件を貸したい人と借りたい人の間をつなぐ「不動産仲介業者」だ。

【展望】
近年、市場の成長は都市部のオフィスビルと商業ビルがリードしてきた。東京オリンピック・パラリンピック需要とアベノミクス効果により、2020年までは引き続き市場は好景気を維持すると予測されている。その先を見据えた動きとして際立つのは、海外事業だ。人口が増えて経済が成長すると、必ず不動産は必要になる。そこで大手各社は、日本でこれまで培ってきた高レベルのノウハウをもとに、東南アジアを中心とする新興国で、オフィス、商業施設、分譲マンション、賃貸住宅などを展開するグローバル戦略に着手している。国内は人口減少が著しいことから、2020年以降は海外展開が本格化し、M&Aを含めて新たなステージを迎えると予想される。

設備・建物管理

老朽化したインフラ更新などで業績は好調
大手は将来を見据えて海外戦略に、着手

【基礎知識】
設備関連には、キッチンやトイレなどの「住宅設備機器」、アルミサッシや木材などの「建材」、さらには「太陽光発電関連」などのほか、設備工事として、発電所からビルや一般家庭まで電力を送るための「送電線工事」、建物の「電気設備工事」「空調設備工事」など、多種多様な工事を担当する企業が存在。建物管理には、清掃、環境衛生管理、設備管理、警備、防災など、多彩な業務がある。現場も、ビルや病院、マンション、官公庁など、幅広い。業態としては独立系のほか、不動産や金融の系列会社も多い。

【展望】
設備関連は、不動産物件の新規着工が増加していることに加えて、スマートグリッド構想※1に基づくエネルギー関連のインフラ整備、災害復旧工事、東京オリンピック・パラリンピックに関連した工事で需要は高まり、市場は売上を伸ばしている。今後も、老朽化した社会インフラ・オフィスビル・マンションの更新や賃貸住宅のリノベーション工事の活発化にともない、需要は旺盛と見られている。建物管理では、特定の業務に特化することで他社との差別化を図り、需要を伸ばす企業の増加と同時に、大手は総合サービスを強みに業績を拡大。また、中長期的視野で国内需要は鈍化することから、海外進出の動きも始まっている。

※ 電力の流れをトータルに制御し、最適化する次世代送電網を構築しようというもの。現在の電力供給は発電所からの一方向だが、双方向を可能にし、ビルや家庭などで発電したクリーンな太陽光エネルギーなどを電力の不足地域へ供給。CO2削減効果も期待されている

プラントエンジニアリング・環境エンジニアリング

国内は設備増強とメンテナンスの需要が中心
新規開発はエネルギーや水処理関連が海外で拡大中

【基礎知識】
プラントエンジニアリング会社は、プラントと呼ばれる生産・処理施設の企画・設計から製造・設置・運転までをトータルに請け負う企業のこと。プラント施設は、電気、石油、ガス、鉄鋼、通信、化学、医薬、食品など、多岐にわたる。巨大なプラントは国全体の経済を発展・加速させ、社会生活に大きな影響力を持つ。環境エンジニアリング会社は、廃棄物処理や水処理システムなどで、環境保全に大きく貢献している。日本のプラント・環境エンジニアリング技術は海外でも評価が高く、事業フィールドは各社ともグローバルにも大きく広がっている。

【展望】
プラント建設には、広大な土地とプラントの常時稼働にも適した周辺環境が必要になる。そのため、国内の新規開発には限界があり、ニーズは設備の増強やメンテナンス分野で高まっている。一方、海外では石油や液化天然ガス(LNG)、シェールガスなど、エネルギー関連の新規プラント開発の需要が伸長し、各社とも業績を拡大している。環境エンジニアリングも海外を中心に需要が高く、業績は好調だ。中でも注目されるのが、上下水道や排水処理施設の建設、保守管理を行う水処理システムである。日本企業の水処理技術はとても高く評価されており、新興国を中心とする海外プロジェクトが官民一体で数多く進んでおり、市場は拡大している。

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サービス

サービス産業は、顧客のニーズを満足させるモノや行為を提供する産業だ。モノや行為は有形・無形とさまざまな形があり、ビジネスモデルも多彩で、多くの業界・企業が含まれる。サービス分野には常に新たなニーズが生まれてくるため、その内容を的確にキャッチした新サービス・新ビジネスの創出により、業界の成長は続いている。サービスの内容が変化しても、産業の誕生から変わらなかったのは、必ず人間が介在してサービスを提供していたことだ。ところが近年は、サービス提供者としてAIやロボットが注目されており、業界は今後、新たな形に変化する兆しも見えている。

フードサービス

「中食」を活性化要因に、業界は順調に成長
長期的には味と社会の動向をとらえた戦略がポイントに

【基礎知識】
食に関するサービスを提供するのが、フードサービスだ。業界を構成するのは、店で購入したものを家で食べる「中食(テイクアウト/デリバリー)」と、家の外で食事をする「外食」。中食は「弁当系」と「惣菜系」、外食は「ファーストフード」「ファミリーレストラン」「ディナーレストラン」「喫茶」「パブ/居酒屋」に分けられる。業界は典型的な労働集約型のため、少子高齢化の影響も加わって人手不足が常態化している。

【展望】
女性の社会進出や少子高齢化・少人数世帯の増加という社会変化を背景に、業界は成長を続けている。中食・外食とも客単価は上昇している。外食も業績は好調で、苦戦が続いた「パブ/居酒屋」にも成長の兆しが見えてきた。また、中食に進出する外食企業も増加傾向にある。こうした状況から中食を活性化の要因として、業界は引き続き順調に成長を続けると予測されている。しかし、食に対する嗜好・流行は変わりやすく、業界に大きな影響を及ぼす。そのため、大手企業では消費者動向の把握に大きな投資や、新商品・メニューの開発また店舗改装、業態転換、さらにはM&Aも推進している。加えて少子高齢化により、市場は縮小に向い、人手不足は加速する。そのため、政府と業界が協力して生産性向上に対する取り組みを進めている。また、外国人労働者の採用も目立ってきた。このように、社会の変化を的確にとらえ、海外展開を含めた新たな戦略の立案と推進が、長期的な成長には欠かせないと見られている。

映画・テーマパーク・アミューズメント

コト消費を追い風に、ますます市場は拡大
今後最大の注目は、「統合型リゾート施設」

【基礎知識】
体験型の「コト消費」ニーズを追い風にしているのが、映画・テーマパーク・アミューズメントといったレジャー産業だ。映画業界を構成するのは、制作・配給・興行(映画館)を担当する各企業。テーマパーク業界は、膨大な資本力を持ち、広大なエリアを舞台に非日常的な体験を提供する。アミューズメント業界はレジャー産業の中核で、パチンコ・パチスロをはじめ、ゲーム、カラオケ、スポーツ、趣味といった分野がある。

【展望】
映画は、人気アニメシリーズとハリウッド映画が業界をリードし、好調を維持している。動向の注目は、シート可動などで臨場感が味わえる次世代シアターだ。ネット配信で映画も楽しめるようになったことから、ただ「観る」だけでなく、「体感する」楽しみの提供は、映画界の新しい指標になる可能性があると期待されている。テーマパークも好業績で、各社とも新規アトラクションの導入や各種イベントを開催し顧客の満足を獲得する取り組みが進んでいる。近年、アミューズメントの成長をリードしてきたのは、スマホや家庭向け新型機に代表されるゲーム分野だ。今後もその勢いは続くと予測されている。また最大の注目は数年後に誕生する「統合型リゾート施設」だ。カジノばかりが注目されているが、統型リゾートは、国際会議場、ホテル、レストラン、劇場、ショッピングモールといった施設を備えている魅力的なエンターテインメントの提供が国内外の需要を獲得し、レジャー市場拡大の鍵を握ると考えられている。

マスコミ

各社ともインターネットを中心とした
新たなビジネスモデルの構築に注力

【基礎知識】
マスコミは、新聞、放送、出版のマスメディアに広告会社を加えた業界で、情報を編集・加工・制作して多くの人たちに提供するビジネスを行っている。新聞は全国紙のほか、地域や特定分野に特化した情報を提供する新聞社が多数存在する。放送は、テレビ、ラジオ、衛星放送の3業態。出版は、作家と協力して情報や意見を雑誌や書籍の形にまとめ上げる。広告は、テレビや新聞、インターネット、折込チラシなどの多彩なメディアに企業告知をはじめとする多種多様な情報を提供している企業だ。

【展望】
従来、マスメディアにはさまざまな人々が積極的に接し各社に多くの広告が集まる。その広告収入とメディア関連の売上で業績を伸ばしてきた。この構図に変化をもたらしたのが、インターネットの普及だ。数年後マスメディアへの広告出稿量は減少し、インターネットがNo.1の広告メディアになるとの試算もある。そこでマスコミ各社は、再度広告収入を伸ばすため、インターネットを活用した自社保有コンテンツの提供・販売の推進や自社サイトへの集客に注力するなど、新たなビジネスモデルの構築に努める。広告業界はこうした動きを視野に入れ、最適なメッセージの伝達路を見極める取り組みを進めている。

旅行・ホテル

景気回復や注目イベント開催など、好条件が目白押し
国内外で旅行人気が高まり、市場はますます拡大

【基礎知識】
旅行業界には、「旅行業」と「旅行業者代理業」が存在する。パッケージツアーなどを企画できるのが旅行業者で、海外・国内旅行が企画できる「第1種」、国内旅行のみ企画できる「第2種」、一定の条件下で国内旅行が企画できる「第3種」がある。旅行業者代理業者は、旅行業者の代理人として、パッケージツアーなどの販売を行う企業だ。ホテル業は、旅行者に宿泊用の客室を提供する事業。低価格が特徴の「ビジネスホテル」、観光地で長期滞在も楽しめる「リゾートホテル」、レストランや結婚式場なども備えた「シティホテル」などがある。

【展望】
景気の回復を背景に、旅行は国内・海外とも人気だ。訪日外国人旅行客も、政府の施策が功を奏し、年々増加。今後も、国際的な観光地としての認知度の高さをはじめ、東京オリンピック・パラリンピックや万博の開催、統合型リゾート施設の誕生が拍車となり、増加が続くと見込まれている。こうした動向をとらえ、旅行業者は国内外の旅行希望者に魅力的な旅行プランを提案。ホテルは、旅行客が増え、宿泊ニーズが高まることから、開業ラッシュが進んでいる。この勢いは今後も続き、旅行・ホテル業界はますます拡大すると予測されている。

教育

成長のポイントは、社会のニーズをとらえた
魅力的なプログラム開発とITの活用

【基礎知識】
教育業界は、進学や情操教育を目的とした「幼・小・中・高校生向け」と、キャリアアップや資格取得を目的とした「社会人向け」に分けられる。業界が直面している変化は、大きく3つある。まずは、少子化によって、学習塾や予備校市場の競争が激化している。次が、英語教育のニーズ拡大。社会人教育の定番だった英語が、小学校で必修科目になったことから、一気にニーズが高まった。そして3つ目が、オンライン学習(eラーニング)の普及。いつ、どこにいても自由に教育を受けられる環境が実現したことだ。

【展望】
教育は、少子高齢化が追い風になっている面がある。少子化の反動で、1人にかける教育費が増加していること。さらには、アクティブシニアが趣味を充実させるため、積極的に教室へ通っているからだ。その一方で、少子化による構造的な市場縮小は避けられない状況にあることからM&Aも頻繁に発生しており、業界の再編も進んでいる。今後の成長要因は、社会のニーズに応え、他にない魅力的な教育プログラムの開発・提供であることは間違いない。その成長をさらに加速させるのが、EdTech※の進展だ。EdTechの試みは世界中で進められており、内容次第ではグローバルにビジネスが展開できることから、今後の重要な教育トレンドとして注目されている。

※1 Education(教育)とTechnology(技術)を合わせた造語。IT 技術を応用し教育に変革を起こそうという取り組み

コンサルティング

ソリューションの提供依頼は引き続き拡大
業界の成長は今後も順調に推移

【基礎知識】
コンサルティングは、企業が抱える課題に解決法を提案する。業界を構成する中核は、企業の経営戦略などに取り組む「戦略系」、ITを活用した業務改革やシステム導入などに取り組む「IT系」、財務や人事、金融など特定分野に特化した「専門系」、あらゆるテーマにトータルなソリューションを提供する「総合系」の4つ。ほかに、官公庁からの委託調査や政策提言を行う「シンクタンク」、特許を専門に扱う「知財コンサルタント」などもある。

【展望】
日本企業の海外進出が加速しているものの、海外で成功するには日本と異なる商習慣への対応など、対処すべき課題が多くある。そこで的確なソリューションを提供し、どれだけ成功を支援できるかが、コンサルティング各社の成長を左右すると考えられている。また、ビッグデータ解析やAI、RPAなどのデジタル分野も、注目すべき領域だ。急激な技術進化で拡大した分野のため、一般企業で対応できる人材が少なく、今後の進化も激しいことから、人材を育成する時間も不足している。デジタル技術の活用は、さまざまな業種・業界のビジネスと深く関わっていることから、IT系に限らず、ソリューションを求めるニーズが高まっている。このように、成長をめざす企業からの要望は、これからも絶え間なく寄せられる。また、欧米に比べると、日本企業のコンサルティング利用は限定的で成長の余地が大きいことから、コンサルティング業界の需要は今後も上がっていくと予測されている。

人材サービス

人手不足を背景に、業績は引き続き好調
今後の鍵は、新たな労働市場に対応したサービスの提供

【基礎知識】
人材サービス業には、4つの代表的な形態がある。市場が最も大きいのは、就業者と雇用契約を結び、派遣期間だけ企業に派遣する「派遣事業」。このほか、求人開拓と就業希望者への情報提供がメインの「求人広告事業」、就業希望者の能力を評価して求人企業に適正人材を紹介する「職業紹介事業」、雇用契約を結んだ就業者を管理して依頼企業の業務を遂行する「請負事業」がある。4事業に共通するのは、企業の人材ニーズと就業者の就業ニーズのマッチングに取り組んでいることだ。

【展望】
少子高齢化という状況でも、「優秀な人材を確保したい」という顧客ニーズは高まっており、人材サービス業界の業績は好調だ。しかしながら、労働人口は確実に減少しているうえ、副業の解禁、新卒採用に対する新たな考え方、高齢就業希望者の増大など、労働市場の状況は大きく変化している。そのため、今後の成長には、新たな社会動向にマッチするサービスの開発・提供が必須になると予測されている。また、減少する国内労働者人口を補完するため、グローバルな視点で優秀な人材を確保する仕組み作りも注目されている。

高齢者サービス

社会のニーズが高く、年々拡大する市場の健全な成長を
既成概念にとらわれない新たな発想がリード

【基礎知識】
業界を構成する業態は、大きく3つ。介護スタッフが高齢者宅に足を運ぶ「訪問型」、事業所に通ってもらってサービス提供する「通所型」、介護福祉施設に入所してもらって24時間365日を見守る「入所型」と、サービスを提供する場所によって分けることができる。高齢者は今後も20年以上は増え続ける見通しで、介護や支援を必要とする人口が増加することから、市場は周辺ビジネスを含めて30兆円規模に成長するとの予測もある。これを背景に、業界内ではM&Aによる事業規模の拡大や異業種の参入など、競争が激化している。また、介護スタッフ不足の課題も叫ばれ続けている。

【展望】
慢性的な人材不足を解消するために進められていることが、大きく2つある。ひとつが、外国人有資格者の育成・採用。もうひとつが、先進テクノロジーの導入だ。癒しを提供するコミュニケーションロボットをはじめ、高齢者の動きや歩行をアシストする機器、介護スタッフの身体をサポートして介助をしやすくする装置、IoTやAIを取り入れた介護や在宅ケアシステムなどの開発が進んでおり、介護現場への導入が始まったものもある。業界の特徴は、まだまだ未成熟なことだ。そのため、法律の改正とともに、既成概念にとらわれない新しい発想で高齢者に喜ばれるサービスを創造・提供し、健全な成長をリードできる余地が十分に残されている。こうした状況から、若手の活躍に期待する声が、大いに高まっている。

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その他

公益法人は、社会公共の利益が目的で、営利を目的としない法人のこと。「社団法人」と「財団法人」がある。社団法人は誰でも設立できる自由度が特徴で、業界団体や医療機関、学校などが代表例。財団法人は個人や企業の財産を活用し、奨学金給付や研究費助成などを行う団体だ。行政機関は、国や地方公共団体の行政事務を行う機関のこと。その中で国策の企画・実施に携わるのが中央省庁で、「1府(内閣府)12省庁」と、金融庁や公安審査委員会など16庁・8委員会から成る「外局」がある。また、行政活動のうち、実施の一部は国から独立した「独立行政法人」が担当。独立行政法人には、中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人がある。

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